先週、Nostrという分散型SNS的なものが日本の一部の層に話題になり、参加してみた。Twitterにすっかりウンザリしていたのと、クライアントアプリ Damus の画面が初期のTwitterみたいで興味を惹かれたからだ。

参加してみると初期のTwitterでよく見かけたお馴染みの人たちがわいわいやっていてすっかり懐かしくなってしまった。「またお前らか(笑)」とも思う。15年以上経っても新しいものに飛びつくのはやっぱりこの人たちなんだな、とも思った。

広告もなく、フォローした人の投稿が時系列に従って流れてくるタイムラインは懐かしくも快適だ。また初期のTwitterにあった世界中の投稿が流れてくるグローバルタイムラインもある(すでにスパムだらけである)。

Nostrがどのようなものか、ここでは説明はしないので誰かの書いた解説でも読んでほしい。以下の記事がおすすめだ。

Nostrプロトコル(damus)を触ってみた - Qiita

極めてギーク向けである。アカウント作るのにメールアドレスとパスワードを登録したりはしない。代わりに公開鍵と秘密鍵が生成されて、これを保存しておくようにと言い渡される。わからない人にはなんのことやらサッパリわからないだろう。とても流行るとは思えない。

分散型が中央集権型よりも優れているとはこれっぽっちも思っていないが、一方がダメになったときのオルタナティブな選択肢は必要だろう。もともとはブロックチェーン由来の技術であって、ユーザー層もWeb3やらNFTやらそっち系の人たちが主流だったのだが、日本人のギーク層が突如大量に押しかけてきたかたちになる。そして会話の中心はもっぱらNIPsと呼ばれるプロトコル仕様の話。リレーと呼ばれるサーバーとクライアント。これを使ってどんなことができるのか話し合ったり、実際に開発をして遊んでいたりしている。まるで無人島にバラバラにたどり着いた人たちが次第に集まって、家を建てたり施設を作ったりしているようで楽しげだ。正直レベルが高すぎてついてゆけない。

こうしたコミュニティの形はいつまでも続くものではないのだろう。いつかは争いや分断や過疎化に直面することになるものだ。ときどきログインしては、集団のごく初期に一度だけ生まれるこの空気を、懐かしみ、名残惜しむように呼吸している。

ちなみに私の公開鍵は以下だ。

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